製作時間の中で、物思いにふけるのは
縫い物をしている時
大きなテーブルにも収まりきらない
大きな1枚の革を広げ
表や裏を見たり、折り曲げてみたり
どんな部位を、どう使うかを見定め
包丁で少しずつ切り出していく
切り出したものを、薄く漉いたり
型紙を使い、必要な形を型どる
目打ちという道具を使い
革に穴を開ける作業を終えると
手縫いの時間
一目一目を二本の麻糸で結ぶ
厚みの薄い箇所は、少し緩く
厚い箇所は、少し力強く結ぶ
表面から見て糸の角度が均一になるよう
ゆっくりと結びを繰り返す
手縫いの工程は、状態を保つために必要ですが
”結ぶ”という行為自体に意味がある
結びの語源は”産霊(ムスヒ)”
日本の神道では「モノを生み出し造り成す」という産霊の力への信仰がある
結ぶことで、そこに生命の活力を生み出す
そして、なぜ麻糸を使うのか?
麻というのは”けがれを拭い去る力を持つ繊維”とされ
手縫いという工程自体が
けがれを拭い去り、神秘的な力を生み出す神事
何かが生まれる”産霊”の力を信じて
一目一目を結び続ける
そんな思いにふけながら
手縫いという神事を楽しんでいます
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